今期の将棋・名人戦の挑戦者に、私が敬愛してやまない 谷川浩司九段 が決まりました。 谷川九段は A 級順位戦 全 9 局が終わった時点で 羽生四冠 (※) と並んで 8 勝 1 敗。 挑戦権争いはプレーオフに持ち込まれることになりましたが、なんとかこの難敵に勝利して、森内名人への挑戦権を手に入れました。
(※) 当時。その後、棋王位を失って、プレーオフの時点では王位、王座、王将の三冠となっている。
これまで谷川は三度名人になり、三度失冠しています。 つまり、失った名人位に二度復位しているということです。 谷川同様、名人位に二度復位した例は過去に 中原誠 の例があります (1985 年と 1990 年)。 しかし、あの大天才・中原でさえ、三度目の失冠の後は復位することがありませんでした。 ですので、もし今度の名人戦で谷川九段が名人の位を奪取すれば、史上初めての名人復位三度という記録を作ることになります。
私が谷川九段を尊敬する理由のひとつに、そのプロ意識の高さがあります。 今から 11 年前の 1995 年 1 月 17 日、谷川が居を構える神戸を含む阪神地方一帯は、阪神・淡路大震災に見舞われました。 谷川自身が 生命の危険を感じたのは生まれて初めての経験であり (中略)、頭の中が真っ白になった
と、その著書の中で書いているほどの状況の中、彼は 二十日に予定されていた大阪での対局のことを考えていた
と言い、さらには こんな時だから延期してほしいという考えは浮かばなかった。 ただ、どうやって大阪に入ろうか、一日前には大阪に入っていた方がよいだろうな、などと思っていた
といいます。 しかも、実はこのとき将棋連盟では、未曾有の大災害という事の特殊性と重大性を鑑みて対局延期も検討していたというにもかかわらず、です。 そしてそれから二ヵ月後の同年 3 月、谷川は、当時王将位以外のすべてのタイトルを持っていた羽生善治の挑戦を受けてこれを退け、羽生の七冠独占を阻止するのです。 谷川はその後、復興を目指す神戸市などへ多額の寄付をし、また、2 年前に起きた新潟県中越地震の際にも、被災地に寄付金を送っています。
上記のような徹底したプロ意識と高潔な人格以外にも、谷川浩司の魅力はあまたあり、とても書き尽せるものではありませんが、あえてもうひとつだけ挙げるなら、その対局姿の美しさでしょうか。 背広を着ても和服を着ても、棋士の中で彼ほど様になり、そしてカッコいい人は稀です。 また、対局中の姿勢から駒を動かすときの指さばきひとつにおよぶまで、谷川の所作はまるで茶道の達人を思わせるような美に満ちていて、さらには気品と風格まで感じさせます。 これは女流の 清水市代二冠 についても同様ですね。
そんな谷川九段ですが、プロ棋士としての彼には不遇な一面もあります。 そのひとつが、同世代にライバルを欠いているということでしょうか。 将棋界で一時代を築いた大名人には、ほぼ常に終生のライバルと呼べる相手がいました。 古くは 大山・升田、それに続く中原・米長 などがそうですし、現在の棋界トップに君臨する羽生善治にも、森内俊之 や 佐藤康光という少年期からのライバルがいます。 しかし谷川には、「谷川・○○」 と並び称されるほどのライバルがいませんでした。 想像ですが、これには谷川九段自身も少なからず寂しさを感じているのではないだろうかと思います。
いずれにしても、今の A 級に残っている 40 代棋士は谷川一人。 いわゆる 「羽生世代」 に席巻されている今の将棋界。 そして、それに続く 渡辺、山崎 などの若手が台頭してきつつある中で、ぜひとも谷川九段には名人のタイトルを奪取して、復位三度の記録を達成してもらいたいと願っています。
(文中敬称略)
注: 記事中の引用部分は、全て谷川浩司氏の著書、“復活” (毎日新聞社 刊; ISBN4-620-31200-2) からのものです。
Since 11th March, 2006.
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最近、勉強ばかりで、記事を書くことが出来なくてブログがちょっと荒れてます。でん助さんのブログは時々見に来てましたが、コメントできずにいました。最近でん助さんは好調ですね。うらやましいです。
じっくり考えて反対意見をコメントしますので、待っていてください。
追伸
今まで、15インチCRTモニタでしたが、19インチ液晶モニタに変えました。ちゃんと一画面で見れるようになりました。右サイドのバックグラウンドカラーは黒御影のようですね、今まで、真っ黒だと思っていました。見る人の環境によってこうも違うものかなと、考えさせられています。
niwayoshi さんも将棋ファンでいらしたんですね。 嬉しい限りです。 望むらくは niwayoshi さんも谷川九段のファンであればと思うのですが、こればかりは ... ですね(笑)
> じっくり考えて反対意見をコメントしますので、待っていてください。
え〜、できれば賛成意見の方がいいんですけど(笑)
てのは冗談ですが、どうぞお手柔らかにお願いします。
> 見る人の環境によってこうも違うものかなと、考えさせられています。
そうなんです。 そこが WEB ページを書くことの難しさというやつで .... 理想的には、視覚に障害を持つ人が音声リーダの助けを借りて読む場合のことまで考慮するべきと言われています。
このブログのページデザインも、まだ niwayoshi さんとのお約束を果たせていませんね。 申し訳ない限りです。